きらきら星

7時なのにまだ明るいとか、近づいてくる山が黄緑と深緑のまだら模様だとか、日に日に濃くなる影や、陽に焼かれた地表の匂い、そんなものに傷つく。そこらじゅうに散乱している悲しみにむせて路上に転がる石を蹴る。カレー屋に着くまで蹴り続けられたらあの人に会える、そういうくだらない約束を自分にする。空気に毒がある。息を吸って吐くたびに死ぬ。死んだら星になるんだって、瞬いてみんなをみる空の星に。象印の炊飯器が蒸気をあげる音がして、それは左耳だけに聴こえた。左の耳朶と首すじを噛む歯、濡れた熱い舌がここにある、自動的に子宮が充血して痙攣する、死にかけのねずみみたいに。カレー屋の隣にあるスーパーには食べられるものが少ないし生きていないレジ打ちがいる。買い物かごに入れたものはさてなんでしょう。帰り道、ヘンゼルとグレーテルみたいにパン屑をまいていたら鴉にあとをつけられたから裏山へ寄ってあいさつをした。