朝はなくて/夜はなくて/群青と橙に休む空/青い針葉凍る空気が/足もとで鳴る雪と繋がり/ひかりに躍る/躍る足をそのままに/そこは、だれもいないのにだれもがいて/重ねあわされ/すみずみまでゆきわたった/振動にのまれる/赤い指先からのびた毛細血管は/つやつ…
枯れて丸まった裏白にだらしなく裂けた百合の花粉がついている。夜が深まるほど濃くなる匂い。むせるような朱色の空気を吐いて痛い額を手のひらに預ける。垂れた首に鋏を入れると手応えのないまま吸いつくように落ちた花冠。その切り口に膨らみはじめた透明…
引用をストックしました
引用するにはまずログインしてください
引用をストックできませんでした。再度お試しください
限定公開記事のため引用できません。