枯れて丸まった裏白にだらしなく裂けた百合の花粉がついている。夜が深まるほど濃くなる匂い。むせるような朱色の空気を吐いて痛い額を手のひらに預ける。垂れた首に鋏を入れると手応えのないまま吸いつくように落ちた花冠。その切り口に膨らみはじめた透明…
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