● 誕生

もんもんが産まれた。生きるためだけに生きているものがもっている力強い愛らしさに、みんなすっかりひきつけられうっとりさせられている。初めて振るわせる声帯からはあんなに可愛い音がでるの。伸びた軟らかい頭は天辺がすこしとがっていて、羊水と血液で濡れたまっさらな毛が生えている。なにかをつかもうと動いているふやけて白い小さな手。桃色の恥丘。二つある薄青い灰色の斑。なんて美しい姿で生きているんだろう。もう、先のことなんてどうだっていいよ。