○ 、海、海、海

、なんて唄ううちに手拍子が聞こえてきてその次の瞬間しんとして終わってしまえばいい命。枯葉を玩んでいればよかった子どもの頃に戻りたいと言ったあのひとはいま仏壇を売っている。お骨ペットの前に置いた砂糖菓子をかじってイチニィサンシっていちばん言い易かったから言ってそれから。それからどうしたんだっけ?ナモアミダーブってかつてわたしのおばあちゃんだったような白髪の老人がやってきて唸っていった。それが昨日。ツクツクホーシを聴きに墓に行った。つるつるにした花崗岩に銀河みたいな糸をかけたこの蜘蛛こそ神なんじゃないかなんて神のなにかも知らないから蜘蛛はそれにでもなるんだ、わたしのうちで。あっけない。柄杓で絡めとられた天ノ川はここにはもうない、昨日も明日もずっとあるかのように、ない。6万円の薄蒼い陶器なんかに収まっているんじゃないよ。飛び散ってばらばらになって空でも海でも土でもそのすべてにでもなってお母さんに弟たちにおばあちゃんにわたしにぜんぶに与えればいい、いのち、そのものを。死、はなんて危うくなく静かで安定しているんだろう。もう安心。安心。